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叱咤と信頼に応えるエースガードの真価

 ようやく自分たちらしいバスケットで勝つことができた。昨日まではどこかで気持ちに隙があったが、チームを率いる常田健コーチも「今日は内容も結果もいい形だったと思います」と認めるほどの完勝だった。「SoftBankウインターカップ2018」の男子準決勝、中部大学第一(愛知・高校総体②)は帝京長岡(新潟)を79-58で下して、初の決勝戦進出を決めている。

 中部大一はインターハイ(高校総体)でも決勝戦に進んでいるが、そのときはエースガードの中村拓人が不在だった。タイ・バンコクでおこなわれた「FIBA U18アジア選手権大会」に出場していたためだ。地元・愛知でおこなわれた大会に出られなかったことは中村としても複雑な思いだったに違いない。結果としてもチームが優勝できなかったとなれば、余計に「自分がいれば……」と思ってもおかしくはない。
 だからこそ、このウインターカップにかける思いは誰よりも強い。
しかし、対戦相手はことごとく中村のドライブに注意を傾ける。ディフェンスの間合いを空け、たとえシュートを打たれたとしても、ドライブを止めることで中村のリズムを崩してやろうと考えたわけだ。
 それに対して、あくまでもドライブで勝負を仕掛けようとする中村に常田コーチは「お前は外のシュートを捨てられているんだぞ」とかなり厳しい口調で告げたという。準決勝の前、午後の練習での話だ。ならばと、中村は「練習してきたアウトサイドシュートを決めてやろう、スクリーンに対してアンダーで守った瞬間に思いきってシュートを打ってやろう」と考えたと明かす。
 しかし中村の好調は常田コーチの叱咤だけが要因ではない。
 ゲームが始まる直前、常田コーチは中村に「お前にゲームを任せる。言いたいことはすべてお前に話しているから、自信を持って好きなようにやりなさい」と言って、コートに送り出したと明かす。
 厳しい叱咤と深い信頼。これが中村の29得点を生み出したのである。

 明日の決勝戦で対戦するのは福岡第一(福岡)。昨年のウインターカップで敗れた相手であり、今年の国体でも決勝戦で敗れた相手だ。
「勝敗のカギは相手のトランジションオフェンスをいかに止めるかだと思います。最後は3年生を中心に中部大一のすべてを出し切って、絶対に勝ちたいです」
 明日、中村拓人の真価が問われる。

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