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全力少年たちの栄光

「オーオーオオオッ……オッオオッ、ウィーアーダイイチ!」
 一方の応援団がそう歌えば、他方の応援団も負けじと同じように歌う。福岡第一(福岡)と中部大学第一(愛知/高校総体2位)の “第一対決” となった「SoftBank ウインターカップ2018」の男子決勝戦は85-42で福岡第一が圧勝し、2年ぶり(3回目)にウインターカップを掲げた。

 夏のインターハイ(高校総体)では第一シードに据えられながら、初戦で敗れた。㉔松崎裕樹選手、⑧河村勇輝選手の2人が「FIBA U18アジア選手権大会2018」に出場して不在だったことも、その敗因の一つとしてある。しかしそれは主力選手を送り出した他チームと同じ条件である。同じように④中村拓人選手を同大会に派遣した中部大一は決勝戦まで勝ち進んでいるのだから、それだけを言い訳にはできない。むろん福岡第一を率いる井手口孝コーチもそれを言い訳にはしていない。

「夏は2人がいない分、なんとかチームプレーで乗り切ろうというバスケットになっていました。特にオフェンスでは目の前の1対1よりもシステムを優先するような、⑩古橋正義も㊻小川麻斗も横を向いて、パスをしなければいけないんじゃないかというバスケットになっていました。緊張感の中で60クベマジョセフ・スティーブも55ディアラ・イソフもファウルトラブル……最悪のゲームになっていました。インターハイについては僕のチーム作りが大失敗したなと感じています」

 しかし負けたことが事実として残っている以上、その悔しさを晴らさなければならない。井手口コーチも「時間の許す限り、選手たちと体育館で過ごした」と言い、キャプテンの松崎選手はキャプテンとして「切り替えて、冬を獲りに行こう」と鼓舞し続けた。
「インターハイ前から自分と一緒にリーダーシップを取ってくれた古橋はそれを継続してくれたし、小川や河村、スティーブは練習中から積極的にコミュニケーションを取りにきてくれました。『ここがダメなんですけど、どうしたらいいですか?』と聞きに来るなど、あの負けからどんどん上達しようという姿勢を学んでいたように思います」
 松崎選手はインターハイを戦ったメンバーの、夏からの変化をそう言及し、こう続ける。
「本気で勝ちに行かないと絶対に全国は取れない。それがわかって、そこからみんなが一致団結して、チームがどんどん方向に進んだのだと思います」

 ただ「悔しさを晴らす」と言っても、負けた経験のあるチーム、選手はみんなそう思うものだ。大切なのはその悔しさをけっして忘れず、努力し続けられるかどうか。
 河村選手が言う。
「昨年のウインターカップ準決勝、福岡大学附属大濠戦で自分は1年生ガードとして出場したんですが、3ポイントシュートが10分のゼロだったんです。結果は3点差での負けだったので、自分がチームを負かしてしまったようなもので、そこからずっと悔いが残っていました。だからこの1年間ずっと3ポイントシュートの練習をしてきました。今日の決勝戦でも確率はよくなかったですけど、2本くらい決められたので、それは昨年の反省があったからこそのシュートかなと思います」
 今日の福岡第一は、最大の武器であるトランジションオフェンスもさることながら、それを中部大一が守りに来れば、ハーフコートオフェンスでも圧倒的な強さを見せつけた。中部大一の3ポイントシュートが1本なのに対し、福岡第一は河村選手の2本を含む10本を沈めている。

 悔しさをバネにするのはどのチームも同じである。3位決定戦で勝った桜丘も、敗れた帝京長岡もそれぞれ県大会での悔しさをバネに勝ち上がってきた。
 ただ、わずかに福岡第一の悔しさを晴らすための全力が他チームを上回った。全力で練習に取り組み、全力でゲームに挑み、最後まで全力でコートを駆け抜ける。彼らはそうして平成最後の栄光を勝ち獲ったのである。
 これは何も福岡第一だからできたことではない。全力は誰もができるスポーツの第一歩である。

 

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